人気ブログランキング |

2008年 09月 20日 ( 1 )

引きずられる母。

c0177527_2024931.jpg





歯科での出来事・・・・。



80歳代のお婆さんが、入れ歯を作って欲しいと現れた。
息子さんであろうか、付き添いの方も一緒。






しかし、歯科医師は家族の許可がないと作れないと言う。

息子は作らなくてもいいと言う。

お婆さんは、作って欲しいと懇願している。







終わる事の無い∞のやりとり。







作ってあげたらいいのに・・・・。待合室のみんなが思っていたと思う。




よくよく 話に耳を傾けると、どうやら義歯を作ってから数ヶ月間は保険のルールで新製できないそうだ。
お婆さんは、その数ヶ月間で義歯をなくしてしまったらしい。

義歯を作るのには保険外であれば作れるようだが、全額負担のため、金額がかかる。
その為、歯科医師は それを理解したうえで 家族の許可がないと作れないという。





そのうちお婆さんは泣き出した。
お婆さん:「お金は、私が払いますから・・・・・だから、作ってください。」


医師:「作れますよ?作れますけど、金額も安いものではないので、家族の方の許可がないと無理なのです。」


息子:「作らなくもいい!歯が無くても 飯ぐらい食べれるだろうが!」



お婆さん:「でも、人に会うのでも、歯が無いと みっともないでしょう・・・・。だから作ってほしいのです。」



医師:「・・・・そうですけど・・・通院も家族の方にしてもらわないと、来れないのでしょう?そうしたら、やっぱり許可がないと・・・・」



息子:「作らない!!帰るぞ!!!」


お婆さんは、「嫌だ」と、その場にしゃがみこんでしまった。お願いします、お願いしますと頼み込んでいる。
まるで子供がおもちゃを買って貰うために、駄々をこねている様であった。




待合室の空気がどんよりとなる。

向かいの人が目頭を押さえている様に見えた。
瞬きもせず、息子を睨み付けている人もいる。
衛生士さんの目が潤んでいる。



息子はなんてひどい人なのだろうと思った。
いいじゃないか。お金も自分で払うって言っているし、本人が歯が無い事に不自由を感じているのだから作るべきなのだ。
この、鬼畜息子!!



『みなさん、入れ歯協定を結びませんか??こんな鬼畜息子は無視して、みんなでこのお婆さんの入れ歯製作を、全面サポートしましょう!!』
・・・・・・・・・そんな言葉が誰からも出ることなく、
お婆さんは鬼畜息子に引きずられて帰っていった。




あとから聞いた話、このお婆さんは 認知症らしく、入れ歯を作っても作ってもどこかにしまい込んで、無くしてしまうそうだ。
今回が初めてではなく、何回も新製をしているらしい。





人間は歳を重ねると、また子供に戻るような気がする。



昔は、息子が 駄々をこねて母に引きずられていたのであろう。それが今、逆転している。



いずれ息子も、娘だか息子に引きずられるのであろうか。









いずれ私も、母を引きずるのであろうか。



そんなことを考えると、一気に心臓あたりが湿っぽくなる。








その時、毅然としていられるように
私はまず、過度のお酒の摂取の癖を 治さなければ・・・・。
by kagawaarata | 2008-09-20 21:06 | Life